日本玩具文化財団は、おもちゃ・人形の魅力を通じて笑顔の広がる(ウェルビーイングな)社会作りを行うべく各種の文化事業(イベント、ライセンス、講座他)を実施しています。

人形の歴史

人形の歴史

ファッションドールとは・・・・

着せ替え衣装をもった人形たちの総称。

それまでのベビードールや抱き人形と一線を画し、年齢はハイティーンにキャラクター設定され、ドレスやアクセサリー、 小物にいたるまで「おしゃれ」をキーワードに構成されている。

代表格といえるものは、1959年アメリカ マテル社のバービー・ドール。

アメリカで大流行となったバービー・ドールは世界中に大きな影響をあたえ、日本を含め、世界中でさまざまなファッションドールが登場した。 それらは、地域文化によって美意識のちがいが見られ、またファッショントレンドの影響を受けながら、時代とともに変化をとげている。

現在ファッションドールは、子ども向けでなく大人のアイテムとして広く受け入れられ、コレクション、手作りドレス(ホビー)など分野も細分化している。

人形の歴史―――その起源~戦後

人形――人間の姿に似せて作られた愛玩具。
その発生は古く、紀元前2000年頃のエジプト王朝まで遡る。最初は信仰の対象として存在していたが、平安時代に入ると、 貴族階級の間で「ひいな」という子ども用の人形があり、これらが互いに作用し合って江戸時代に「雛人形」として発達した。

「にんぎょう」という言葉が広く一般に用いられるようになったのは江戸時代からであり、商業の発達とともに、 人形の商品としての需要が盛んになる。人形製作技法もこの時代にめざましく向上し、精巧、優美な日本人形独特の作品が続出した。

明治時代以後には、欧米風の人形が主流となり、大正期から昭和期にかけてのセルロイド人形、縫いぐるみの文化人形が流行した。

戦後になると、1954年のミルク飲み人形、1957年には髪結い遊びのカール人形が登場。また1960年代に入ると、 1960年ビニール製の「ダッコちゃん」人形、その後ソフトビニール製の着せ替えファッション人形などが次々と登場。
従来は飾ったり、抱いて遊ぶ程度であった人形に、現在では様々なアクションを加えたものが近年の大きな傾向となっている。

また、子どもに限らず、大人にも幅広く親しまれている。

年代 人形たち 特徴
50年代 小鳩くるみちゃんのミルクのみ人形(54・マスダヤ)、カール人形(57・マスダヤ)、シシー(55・米・アレクサンダー・ドール社)、バービー・ドール発売(59・米・マテル)、ジニー(米・ヴォーグ) 【50~60年代前半】
日本では1954年、マスダヤの小鳩くるみちゃんミルクのみ人形が大ヒット。1959年にアメリカでバービードールが発売される。 バービーのヒットの影響から、ヨーロッパでもセクシーなファッションドールが発売される。
1960
1961
1962 ポニーテール・バービー(米・マテル)日本発売、バブルカット・バービー(米・マテル)、タミー(米・アイディアル)、 バービーのボーイフレンド・ケン(米・マテル)、シンディー(英、ぺディグリー)
1963 シンディー(英)、バービーの親友・ミッジ(米・マテル)
1964 バービーの妹・スキッパー(米・マテル)、ミス・バービー(米・マテル)、ミリー(仏・ジェジェ)
1965 ミス・ナンシー(大池玩具)、アメリカンガール・バービー(米・マテル)、ドリー(仏・ジェジェ)
1966 スカーレットちゃん(中嶋製作所)、バービーのいとこフランシー(米・マテル)日本発売、ミリー2代目(仏・ジェジェ)、 トッド&トゥッティ(バービーの双子の弟妹)(米・マテル) 【60年代後半】
純国産のファッションドールが作られるようになる。1966年に日本で初のファッションドールである、 スカーレットちゃんが中嶋製作所より発売、1967年にはタカラからリカちゃんが発売される。 同年バービーも日本で発売されファッションドールは日本でも人気商品になった。
1967 リカちゃん・初代発売(タカラ)、ツイスト・バービー日本発売(米・マテル)、ツィッギー(米・マテル)、 ぺトラ(独・プラスティ)、スカーレットちゃんの妹カンナちゃん(中嶋製作所)
1968 ハイファッション・リナ(タカラ)、イエス・ノー・ミニー(ツクダ)、パピーちゃん(大池玩具)、ミニーちゃん(大池玩具)
1969 リカちゃんのママ初代・香山織江(タカラ)、チビッコチーちゃん(タカラ)、だっこちゃんベビー(タカラ)、ミュゼ(伊・ファーガ)
1970 こえだちゃん(タカラ)、レディリカ(タカラ)、ダンシング・ドォン(70年代初期・タカラ)、 マーガレットちゃん(70年代初期・中嶋製作所)、プチット姫(70年代・タカラ)、チャーム・スカーレット(中嶋製作所) 【70年代前半】
多くのキャラクターで独特の世界観を作りつつあったリカちゃんのヒットに刺激され、 多くの国内メーカーがファッションドールを開発した。 アイドル歌手などのキャラクタードールなども登場し、ファッションドールの世界に広がりを見せた。
1971 ピチピチリカ(タカラ)、魔法のマコちゃん(タカラ)、ミスロングヘアー(タカラ)、虹のナナちゃん(シバ)、マリブ・バービー(米・マテル)
1972 リカちゃん2代目(タカラ)、リカちゃんの姉リエちゃん(タカラ)、あしながレギー(シバ)、ブライス(米・ハズブロ)、ディスコガールズ(英・レズニー)
1973 おさんぽロコたん(中嶋製作所)、おどるリズミーちゃん(シバ)、マドモアゼル・ジェジェ(セキグチ)、
1974 リカちゃんのふたごの赤ちゃんミキちゃん・マキちゃん初代(タカラ)、ピコ(タカラ)、キャンディちゃん(タカラ)、 ふしぎっ子エミちゃん(ツクダ)、モンチッチ(セキグチ)
1975 こんにちはユッコちゃん(トミー)、スポーツレディヨーコ(トミー)、ターニャ(70年代中期、伊・ジョッチ・プレジオシ)、 ぺトラと仲間(70年代中期、独・プラスティ) 【70年代後半】
関節の動くドールが登場し、ポーズが自由にアレンジできるようになった。 また、ヘアーやレコードなどの仕掛けのあるギミックドールが発売された。アサヒ玩具から発売されたピンク・レディやベルサイユのばらなど、 キャラクタードールも多数発売されヒット商品となる。
1976 マリーフランソワ(タカラ)、ふたごのモンチッチ(セキグチ)
1977 ロングヘアーリカちゃん(タカラ)、こえだちゃんと木のおうち(タカラ)、チーちゃん2代目(タカラ)、スーパースター・バービー(米・マテル)
1978 リカちゃんの憧れのお姉さんレディ・マリア(タカラ)キキ・ララ:星のおへや(タカラ)、キャンディ・キャンディ(ポピー他各社)
1979 リカちゃんのママ2代目(タカラ)、リカちゃんのふたごの赤ちゃんミキちゃん・マキちゃん2代目(タカラ)/※キャラクタードールピンクレディ(アサヒ玩具)、ベルサイユのばら(アサヒ玩具)
1980 パティー&ジミーのおうち、キキ・ララ月のおうち(タカラ)、ブラック・バービー(米・マテル)、ヒスパニック・バービー(米・マテル)、 スタイリング・シンディー(英・ぺディグリー) 【80年代前半】
1982年にタカラから和製バービーが発売され、大ヒットとなる。リカちゃんも大きくモデルチェンジをし、 15周年を迎えた1982年に3代目リカちゃんが発売された。
1981 アンナ(バンダイ)、ゴールデン・ドリーム・バービー(米・マテル)
1982 リカちゃん3代目(タカラ)、タカラバービー(和製バービー・タカラ)、スイート・ノンノ(タカラ)、きらきらセーラ(トミー)
1983 まきまきカールのリカちゃん(タカラ)、リカちゃんのふたごの赤ちゃんミキちゃん・マキちゃん3代目(タカラ)、アンナちゃんのママ(バンダイ)
1984 エンジェルリカ(タカラ)、キャベッジ・パッチ・キッズ(ツクダ)
1985 リカちゃんのママ3代目(タカラ)、小公女セーラ(タカラ)、ディトゥーナイト・バービー(米・マテル) 【80年代後半】
アメリカ・マテル社のバービーが、コレクターズ・アイテムとしても注目されるようになり、 大人向けの商品アイテムが展開されるようになる。タカラバービーは、「ジェニー」に改名。デザイナーとのコラボレーションにより、人気はより高まった。 原宿・竹下通りに「ジェニーズショップ」もオープンした。
1986 人魚のリカちゃん(タカラ)、ジェニー(タカラ)、マーババービー(和製バービー・バンダイ)、エリーナ(オオイケ)、アストロノウツ・バービー(米・マテル)
1987 リカちゃん4代目(タカラ)、リカちゃんのふたごの妹ミキちゃん・マキちゃん4代目(タカラ)、 リカちゃんのみつごの赤ちゃんかこ・みく・げん(タカラ)、BG倶楽部YOU(タカラ)
1988 星のシンデレラリカちゃん(タカラ)、デュ・エル(タカラ)
1989 ニューシンデレラリカちゃん(タカラ)、リカちゃんのパパ・ピエール(タカラ)、スターライトジェニー(タカラ)、 バンダイバービー(和製バービー・バンダイ)
1990 バービー・コレクターズ・シリーズ(米・マテル) 【90年代前半】
1992年、リカちゃんが25周年を迎えた。おばあちゃんも登場しファミリーも増えて、 ますますにぎやかになった。芸能人ドールや人気アニメのドールなど、キャラクタードールも多種多様になった。
1991 おひめさまリカちゃん(タカラ)、エコロジーハート・ジェニー(タカラ)
1992 ピンキーピンクリカちゃん(タカラ)、ワールドリカちゃん(タカラ)、プレミアム・リカちゃん(タカラ)、 リカちゃんのおばあちゃん(タカラ)、スターライトヨシキ(タカラ)、ミラクルガールズ(タカラ)、赤毛のアン(タカラ)
1993 リカちゃんのママ4代目(タカラ)、ジュエリーリカちゃん(タカラ)、セーラームーン(バンダイ)
1995 プレゼントリカちゃん(タカラ) 【90年代後半】
1997年に30周年を迎えたリカちゃん。子どもだけでなく、 昔リカちゃんで遊んだことのある世代やコレクターを対象にしたタイアップ商品や記念商品も積極的に展開している。 ジェニーはフレンドドールを増やし、99年夏までに総勢37人のキャラクターが登場している。
1996 シンボルリカちゃん(タカラ)、ダンシングリカちゃん(タカラ)、カルバンクライン・バービー(米・マテル)
1997 リカちゃんのアルバム(タカラ)、サイクリングリカちゃん(タカラ)、ANA’sリカちゃん(タカラ)、高校生リカちゃん(タカラ)、クリスチャンディオール・バービー(米・マテル)、ナンシー(西・ファモサ)、シシー(米・アレクサンダー・ドール)
1998 パリジェンヌリカちゃん(タカラ)、ヴィヴィアンウエストウッド・バービー(米・マテル)
1999 リカちゃん七福神(タカラ)、ハッピースマイルリカちゃん(タカラ)、ストリートリカ(タカラ)、40周年アニバーサリー・バービー(米・マテル)、バーバリー・ブルーレーベル・バービー(米・マテル)、レディ・ファルカ(西・ファルカ)
2000 ネオリカ(タカラ)、サミットリカちゃん(タカラ)、ターニャ(GiochiPreziosi/トミー)、ジバンシィ・バービー(米・マテル) 【2000年代】
大人向けのファッションドール、ブライスやmomokoが発売され大人気に。 リカちゃんもハイ・ターゲットにしたネオリカが発売。沖縄サミットリカちゃんやリカちゃんがママになるという、 こんにちはあかちゃんなど、話題提供にも一役を担う。
世界で最も有名なファッションドールのバービーが発売50周年を迎える。世界各国で記念パーティーが開催され、日本では帝国ホテルで記念式典が行われた。
2001 こんにちはあかちゃん(タカラ)、バーバリー・バービー(米・マテル)、ブライス(タカラ)、momoko(ペットワークス)、リカちゃんのママ5代目(タカラ)
2002 アイドルリカちゃん(タカラ)、プチブライス(タカラ)、ブラッツ(MGAEntertainment,Inc/タカラ)
2003 ココ・ドール(セキグチ)、スペシャルバリューリカちゃん(タカラ)、プーリップ(グルーヴ、ジュンプランニング)、ウナ(ムーフ)、ジョルジオアルマーニ・バービー(米・マテル)、スージー(台・R&D)
2004 アルビス(アルフレックス)、ハートヒルズリカちゃん(タカラ)、おしゃれスタイルドール(タカラ)、ケイトスペードニューヨーク・バービー(米・マテル)、ヴェルサーチ・バービー(米・マテル)
2005 momoko DOLL(セキグチ)、えっくす☆きゅーと(アゾンインターナショナル)、世界のお友達(ダイソー)、カリフォルニアガール・バービー(米・マテル)、ジューシークチュール・バービー(米・マテル)、
2006 おでこちゃんとニッキ(ペットワークス)、アナスイ・バービー(米・マテル)
2007 リカちゃん ワールドツアーシリーズ(タカラトミー)、えっくす☆きゅーとふぁみりー(アゾンインターナショナル)、ユノアクルス・ライト(セキグチ)、ハローキティ・バービー(米・マテル)
2008 ビューティーロングリカちゃん(タカラトミー)、マイメロディ・バービー(米・マテル)
2009 バービー・ファッショニスタ(米・マテル)、50周年アニバーサリー・バービー(米・マテル)
2010 ヘアカラーチェンジリカちゃん(タカラトミー)、ミディブライス(タカラトミー)、クリスチャンルブタン・バービー(米・マテル)、ビデオガール・バービー(米・マテル)、モンスター・ハイ(米・マテル) 【2010年代】
バービー・ファッショニスタ・シリーズでは、トレンドのファッションを様々なヘアスタイルや、瞳の色、肌の色で楽しめるというコンセプトで展開。16年にはトール(長身)、カービー(曲線美)、プチ(小柄)の3タイプの体型が新たに加わり話題となる。
またマテル社は19年に世界初のジェンダーフリーなファッションドール「クリエイタブル・ワールド(Creatable World)」をアメリカ限定で発売。
固定概念や偏見にとらわれず多様な容姿から、子供たちが心惹かれる人形で遊び、なりたい姿や憧れを投影できるようになっている。
2011 リカちゃんのみつごの赤ちゃん2代目かこ・みく・げん(タカラトミー)、バービー・ミュージアムコレクション(米・マテル)、バービーの妹チェルシー(米・マテル)
2012 リカちゃんのおばあちゃん洋子(タカラトミー)、ピコえっくす☆きゅーと(アゾンインターナショナル)、ロッティ(愛・アークル社)
2013 ruruko(ペットワークス)、コーチ・バービー(米・マテル)
2014 オビツフル可動キューピー(オビツ)、55周年アニバーサリー・バービー(米・マテル)
2015 リカちゃんのママ6代目(タカラトミー)、リカちゃんのパパ2代目(タカラトミー)
2016 バービー・ファッショニスタ プチ・トール・カービー(米・マテル)
2017 だいすきリカちゃん(タカラトミー)、レミン&ソラン(バンダイ)、アルヴァスタリア(アゾンインターナショナル)
2018 リカちゃんのみつごの赤ちゃん3代目かこ・みく・げん(タカラトミー)
2019 ハルモニアブルーム(グッドスマイルカンパニー)、60周年アニバーサリー・バービー(米・マテル)、クリエイタブル・ワールド(米・マテル)、L.O.L. Surprise! O.M.G.(米・MGA社)
2020 #Licca(タカラトミー)、ゆめいろリカちゃん(タカラトミー)、鬼滅の刃リカちゃん(タカラトミー)、シュガーカップス(アゾンインターナショナル)
2022 ゆめみるリカちゃん(タカラトミー)
2023 #ジェニー(タカラトミー)、リカちゃんのおじいちゃん浩(タカラトミー)、リカちゃんのおばあちゃん洋子2代目(タカラトミー)、ワーナー・ブラザースによりバービーの実写版映画が公開、映画「バービー」関連衣装のバービー、ケン(米・マテル)
2024 65周年アニバーサリー・バービー(米・マテル)

参考文献

  • 増淵宗一郎『少女人形論』講談社、1995年
  • 斎藤良輔(編)『日本人形玩具辞典』東京堂出版、1997年
  • 純子セラフィーナ『ファッションドール大図鑑』同文書院、2000年
  • たいらめぐみ『お人形事典~ファッションドール編~』グラフィック社、2004年
  • 茅野裕城子・たいらめぐみ・関口泰宏『バービー・ファッション50年史』扶桑社、2009年
  • ぴあMOOK『Barbieぴあ』ぴあ(株)、2014年
  • たいらめぐみ『増補版 お人形事典~ファッションドール編~』グラフィック社、2021年
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