おもちゃの歴史
明治のおもちゃ
明治の中頃までは、子ども達の遊びやおもちゃにも、江戸期の伝統的な遊び文化が息づいていました。 しかし、20世紀に入ると日本の国力が上昇し、おもちゃも舶来玩具に影響されたブリキや鋳物などの近代的でハイカラなおもちゃが出回るようになりました。
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年代 |
流行したおもちゃ |
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1901年 |
鉄製の輪回し遊び流行、相撲人形盛んに出回る |
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1902年 |
このころ、ブリキ製軍人呼子笛、水出し福助、理科玩具「ウイテコイ」、活動写真玩具、「写真雙眼鏡」、ガラス製おはじきなど出回る |
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1903年 |
大阪市、埼玉県川口町で国産の鋳物ピストル玩具の製造開始 |
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1904年 |
紙めんこ遊び、全国的に流行 |
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1905年 |
戦争(行軍)将棋、勲章玩具など盛んに売れる |
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1906年 |
「いちれつ談判破裂して」の歌がお手玉遊びに使われ、全国的に流行 |
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1907年 |
アンチモニー製玩具出回る |
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1908年 |
国産模型飛行機売り出される |
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1909年 |
模型飛行機の第1回競技会開催 |
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1910年 |
アンチモニー製水ピストル発売 |
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1911年 |
ビリケン人形アメリカから渡来、マスコットとして人気に |
大正のおもちゃ
大正期には、日本経済が成長をとげ、「大正デモクラシー」の自由な雰囲気の中で子ども達の遊びも多様化します。 めんこ、ベーゴマ、ビー玉、おはじきなどを使った遊びが定着し、子どもにとって身近な駄菓子やおもちゃ(小物玩具)が数多く登場しました。 また「正チャン」や「ノンキナトウサン」など、大衆に支持されたマスコミ玩具が登場したのも、この時代の特徴です。
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年代 |
流行したおもちゃ |
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1912年 |
飛行機玩具流行 |
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1913年 |
東京・巣鴨私立帝国小学校・同付属幼稚園に人形病院が創設される |
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1914年 |
玩具の教育性が認識されてくる |
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1916年 |
玩具輸出額が764万円にのぼり、第1次大戦勃発当時の3倍に増大 |
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1917年 |
セルロイド製のキューピー人形が流行 |
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1918年 |
忍術ごっこ遊び流行 |
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1919年 |
有害色彩玩具取締規制により、制作規定が厳しくなる |
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1920年 |
国産玩具の海外輸出額2118万円となり、活況を示す |
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1921年 |
玩具輸出額前年の3分の1に激減 |
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1922年 |
平和記念東京大博覧会で国産金属玩具、セルロイド玩具が金牌を受賞 |
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1923年 |
関東震災で玩具工場の大半が焼失。生産高、前年の6分の1に減少 |
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1924年 |
震災後の郷土玩具愛好運動が全国各地で展開 |
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1925年 |
東京市主催「おもちゃ展覧会」開催 |
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1926年 |
皇孫御誕生奉祝「こども博覧会」(東京日日新聞社主催) |
昭和 戦前・戦中期のおもちゃ
世界恐慌で幕を開けた昭和。この危機の中で輸出の柱とされたのが玩具でした。 玩具産業は、セルロイド、ゴム、金属へと主力の素材を変化させながら、めざましく発展し第一次黄金期を迎えます。 玩具の世界への進出が遂げられる中、国際親善の先駆けである「青い目の人形交流」も行われました。 しかし、戦争が近づくと、おもちゃも次第に戦時色に支配されていきます。金属、ゴムなどは統制を受け、紙、木、竹製の玩具だけ が細々と作られる状態となり、果ての無い戦争の激化によって、おもちゃは冬の時代に突入したのです。
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年代 |
流行したおもちゃ |
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1927年 |
日月ボール(けん玉)、野球遊び、ダイヤモンドゲームなど流行 |
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1930年 |
紙芝居「黄金バット」人気 |
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1931年 |
アンチモニー製のピストル出回る |
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1932年 |
メンコ、かるた、双六など「のらくろ」玩具流行 |
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1933年 |
ヨーヨー、全国的に大流行 |
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1934年 |
児童雑誌の附録として「組立模型」が流行 |
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1935年 |
小物玩具の年間額2000万円の新記録を樹立 |
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1937年 |
玩具輸出額4,200万円の戦前最高額を記録 |
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1938年 |
国内向けの金属(ブリキ)玩具製造禁止 |
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1939年 |
金属の代わりに木などを使った代用品玩具盛んとなる |
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1940年 |
欧米で日本製玩具の輸入禁止相次ぐ |
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1942年 |
アルミニウム・アルマイト玩具の製造禁止 |
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1943年 |
「愛国百人一首」「愛国いろはかるた」など登場 |
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1945年 |
12月、京都丸物百貨店で10円のブリキ製「小菅のジープ」が売り 出され、長蛇の列がデパートを一周、暮れだけで10万個販売 |
昭和 戦後復興・高度成長期のおもちゃ
戦後の日本経済の立役者として、玩具産業は急速によみがえり、輸出産業の花形となりました。 1960年代の高度成長およびテレビを軸とするマス・メディアによる大衆消費社会の成立は、玩具産業にかつてない活況をもたらします。 特に、1960年代のプラスチック・ビニールなどへの素材革命は、玩具の大量生産・大量消費を相乗的に加速させ、 日本の子ども達に主眼をおいた目新しいおもちゃが、次々と世の中に送り出されていきました。 しかし、1973年のオイル・ショックを契機に、省資源・省エネルギーに対応でき技術革新(半導体技術の採用)と、 社会的要請に対応できる付加価値の創造という新しい課題を受け、おもちゃは更なる転換を迫られました。
1970年代末には半導体導入によるおもちゃのハイテク革命が実現します。 1979年のインベーダーゲームの登場は、ハイテクゲーム時代の到来を告げるベルとなりました。 また1983年に任天堂が発売したファミコンの大ヒットにより、子どもたちの遊びの中でデジタル玩具が急速に台頭していきます。
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年代 |
流行したおもちゃ |
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1946年 |
「こどもに玩具を与えよ」請願書国会に提出 |
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1947年 |
日本玩具商工業協同組合・日本セルロイド工業協同組合ほか主催の「全日本おもちゃ展」(日本橋白木屋)、 朝日新聞社主催「コドモの国おもちゃ展」(西宮北口遊園地)など各地で玩具のイベント開催 |
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1948年 |
弾み車で動く「フリクション自動車」玩具登場、輸出玩具の花形となる |
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1949年 |
日本の人形陳列展(国立博物館)、人形文化資料展(国会図書館)など開催鉄鋼材料の入手難でアメリカのメーカーの生産が停滞。 金属玩具を中心に対米輸出が前年の3倍になる |
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1950年 |
国産プラスチック製玩具製作開始 |
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1951年 |
企業庁主催の「伸びゆく日本のおもちゃ展」開催(東京三越) |
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1952年 |
食用玩具「風船ガム」流行 |
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1953年 |
ニューヨーク・タイムス紙、国際おもちゃ展示会で日本の5セント玩具が再びアメリカ市場に出始めると報道 |
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1954年 |
国産の「ミルク飲み」人形流行 |
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1955年 |
ラジオ・コントロール・バスが発売され、電動玩具に画期的な変革をもたらす |
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1956年 |
ホッピング大流行 |
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1957年 |
髪型を自由に変えられる「カール人形」出回る |
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1958年 |
国産初のプラモデル玩具「ノーチラス号」登場 |
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1959年 |
国産ミニチュア・カー出回り始める |
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1960年 |
ビニール人形「ダッコちゃん」大流行 |
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1961年 |
ミニチュア・カーなど輸入玩具が脚光を浴び、以後数年間で玩具の高級化・ホビー化が進む |
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1962年 |
第1回日本玩具国際見本市開催(現 東京おもちゃショー) |
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1963年 |
「レーシングカー」「バービー人形」発売 |
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1964年 |
マスコミ玩具「鉄腕アトム」「鉄人28号」など登場 |
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1965年 |
栃木県壬生町に「おもちゃ団地」、東武宇都宮線「おもちゃのまち駅」誕生 |
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1966年 |
「オバケのQ太郎」大流行 |
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1967年 |
社団法人日本玩具協会設立 |
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1968年 |
輸入ミニカー市場に急速に普及 |
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1969年 |
アポロ12号の影響で宇宙もの玩具流行 |
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1970年 |
「タイガーマスク」などキャラクター玩具流行 |
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1971年 |
玩具業界、「玩具安全マーク制度」実施 |
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1972年 |
玩具安全基準、正式にスタート(STマーク) |
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1973年 |
「ゴルフゲーム」、「オセロゲーム」など盤ゲームがヒット |
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1974年 |
ジグソーパズル流行 |
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1975年 |
レンジ・氷かき・毛糸編機など女子玩具好調 |
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1976年 |
「およげ!たいやき君」関連玩具流行 |
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1977年 |
スーパーカー・ブーム。カード、ミニカー、プラモデル、消しゴムなどの関連商品流行 |
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1978年 |
LSIゲーム登場 |
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1979年 |
「ウルトラマン人形」全国的に大ヒット |
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1980年 |
「ルービックキューブ」大流行 |
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1981年 |
「機動戦士ガンダム」のプラモデル大ブーム(2年間で5000万個を販売) |
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1982年 |
グラフィックコンピュータ「ぴゅう太」発売 |
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1983年 |
「ファミリー・コンピュータ」大ヒット |
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1984年 |
「キャベッジパッチキッズ」(キャベツ畑人形)日本上陸し話題を呼ぶ |
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1985年 |
「シルバニアファミリー」登場 |
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1987年 |
おもちゃ券発売開始 |
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1988年 |
「ファイナルファンタジー2」「ドラゴンクエスト3」などテレビゲームソフトがヒット |
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1989年 |
玩具業界VANシステム 「TOYNES」発足 |
平成~令和 現代のおもちゃ
現代ではデジタル玩具を中心に、おもちゃの枠を超えたハイテク化・高度化の技術革新が進む一方、 ホビー玩具など、子どもだけでなく、大人が遊ぶことを目的とした新しい価値観をもったおもちゃが登場しています。 また、子ども文化と大人文化と境界が不鮮明になると共に、子ども文化の代表格であったマンガ、アニメ、テレビゲームなどが、 日本発のカルチャーとして認識され、世界の国々向けて発信されています。
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年代 |
流行したおもちゃ |
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1990年 |
日本玩具協会「小さな凸の提案」発足 |
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1991年 |
「愛鳥倶楽部」、「バーコードバトラー」発売 |
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1992年 |
トイザらス オープン |
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1993年 |
キッズコンピュータ「ピコ」登場 |
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1994年 |
32ビットテレビゲーム「セガサターン」、「プレイステーション」ほか登場 |
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1995年 |
「プリント倶楽部」登場 |
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1996年 |
「NINTENDO64」発売 |
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1997年 |
「ポケットモンスター」大ヒット、関連グッズ人気 |
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1998年 |
「ポケットピカチュウ」「てくてくエンジェル」など万歩携帯ゲーム大ヒット |
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1999年 |
映画「スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス」公開、フィギュア人気 |
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2000年 |
ペットロボット「プーチ」等人気 |
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2001年 |
「ベイブレード」TVアニメ放送をきっかけに大人気に |
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2002年 |
犬の気持ちがわかる「バウリンガル」がイグノーベル賞を受賞し話題を集める |
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2003年 |
テレビ番組「トリビアの泉」から生まれた「1/1へぇボタン」ヒット |
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2004年 |
キッズ向けAM機「甲虫王者ムシキング」がブーム、関連フィギュアが人気に |
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2005年 |
キッズ向けAM機「おしゃれ魔女♡ラブ&ベリー」、関連グッズが大ヒット |
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2006年 |
「エアロソアラ」、「マイクロマスターHG」、「ハニービー」など小型飛行RCが人気を集める |
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2007年 |
「∞プチプチ」各メディアで話題となりヒット |
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2008年 |
「こねパン」、「くるりんアイスクリン」など本当に食べられるクッキングトイが話題になる |
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2009年 |
TVアニメの放送により「ベイブレード」の人気が再燃 |
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2010年 |
「ベイブレード」、「爆丸」、「ハイパーヨーヨー」に人気が集中 |
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2011年 |
東日本大震災の影響で節電・イエナカ意識の高まりにより、「人生ゲーム」や「野球盤」などのアナログゲームの需要が高まる |
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2012年 |
スマホ型トイ「プリティーリズム」や「ジュエルポッドダイヤモンド」など人気に |
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2013年 |
世界最小サイズの飛行RC「ナノファルコン」が話題になる |
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2014年 |
「妖怪ウォッチ」が社会現象に、「DX妖怪ウォッチ」「妖怪メダル」が一大ヒット |
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2015年 |
VR(仮想現実)が手軽に楽しめる「ボッツニュー」が話題に |
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2016年 |
ロングセラーパズルブランド「キャストパズル」が「はずる」に名称変更 |
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2017年 |
ゲーム機「ニンテンドースイッチ」が発売され世界的に大ヒット |
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2018年 |
「L.O.L.サプライズ」や「WHO are YOU?」などアメリカ発の「サプライズトイ」が世界中で大ヒット |
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2019年 |
「すみっコぐらし」人気により、関連玩具もヒット |
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2020年 |
「鬼滅の刃」が社会現象に、「DX日輪刀」が大ヒット |
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2021年 |
新触感液晶トイ「ぷにるんず」が大ヒット |
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2022年 |
「ポケモンカードゲーム」が大ヒット |
参考文献
- 高山英男(監修)/日本玩具文化財団(編)『20世紀おもちゃ博物館』同文書院、2000年。
- トイジャーナル編集局(編)『おもちゃのメーカーと問屋の歴史と今がわかる本』東京玩具人形問屋協同組合:トイジャーナル編集局、2003年。
- 『月刊トイジャーナル』東京玩具人形協同組合、2019年3月号。
- 『月刊トイジャーナル』東京玩具人形協同組合、2023年4月号。